適応障害かも?4つのチェック項目をカンタンに説明

私には適応障害となり、会社を数ヶ月間休職した経験があります。

適応障害って、身体はつらいのに、骨折とか風邪のようにはっきりと目に見えない部分が多い。  

だから、「単に甘えているだけかも・・・」と思ったまま過ごして、症状が悪化してしまうことがあります。私もそうでした。

ここでは「もしかしたら適応障害かも?」と思った人に向けて、チェックする方法を簡単にまとめました。 

適応障害のチェック内容をざっくりと

はじめにざっくりとチェックする点を説明しておきます。

適応障害は、「世界保健機構の診断ガイドライン」という世界基準に基づいて、チェックする観点が決まっています。

分厚い本にさまざまな精神障害についてまとめられていますが、適応障害かどうかをチェックする点は4つです。

1.症状によって日常生活に支障が出ているか?
2.ストレス原因が明確で3か月以内の発症か?
3.ストレス原因から離れると症状が改善するか?
4.他の病気ではないか?

チェック1 症状によって日常生活に支障が出ているか?

適応障害は、情緒面・身体面・行動面に何らかの症状が出るとされていますので、まずはじめにこれらをチェックします。

情緒面の症状

情緒面の症状とは、主に、気分が塞いでしまったり、憂鬱になったりといった抑うつ症状が多くあります。

例)気分が塞ぐ(抑うつ気分)、不安、イライラ、焦りや緊張、無気力、など

身体面の症状

適応障害による身体面の症状には、下記のようなものがあります。

例)動悸や発汗、頭痛、めまい、吐き気、下痢、睡眠障害、食欲低下、疲れやすい、体がだるい、など

行動面の症状

適応障害による行動面の症状とは、社会的に禁止されてたり、悪い行動を指します。

下記のようなものがあります。

例)遅刻、欠勤、乱費、ギャンブル、自傷行為、食欲がない、暴飲暴食、無謀な運転や喧嘩、など

症状には個人差があるので、どちらかというと症状よりも、その症状によって「日常生活に支障をきたしているか」がポイントになります。  

私の場合は、特に吐き気がひどい症状でした。日曜の夜から吐き気がひどくなり、平日の朝がピークです。出勤途中には吐き気によって、うずくまってしまうこともありました。  

また、出社した後も動悸が激しく、仕事に集中できない状況が続いていました。

そしてその結果、仕事が進まないので関係者に注意され、さらに症状が悪化するという悪循環です。 下記のようなものも日常生活に支障が出ていると言えます。

日常生活の支障(例)
・家族や恋人との喧嘩が増え、関係が悪化してしまった。
・集中力が落ちて、仕事のミスが多くなってしまった。
・食欲がなく、好きだった食べ物も受け付けない。
・寝つきが悪く、睡眠不足に悩んでいる。

どのくらいの症状になると適応障害となるのか?

適応障害では、様々な症状が発生しますが、「どのくらいつらくなると、適応障害となるのか」という基準はありません

客観的なつらさではなく、自分にとって症状がつらく耐えられないと感じるようであれば、それは「正常でない」と言えます。  

私の記憶で忘れられないのが、上司に体調不良を訴えたときのことです。

体調がどんどん悪化しており、自分なりに調べた結果、これは適応障害だろうと感じていました。

そのことを上司に相談したとき、 「そういった精神障害になると、出勤できなくなるから、お前はまだ病気じゃない」 と完全否定されたのです・・・  

こういった無理をした出社が続いたことで、どんどん症状が悪化して、最終的には出勤にも影響が出るレベルまでになりました。

なので、周りがどうこういう問題ではなく、自分にとって耐えられない状況かどうかが大切になります。

チェック2 ストレス原因が明確で3か月以内の発症か?

情緒面・身体面・行動面に支障が出ていたとしても、適応障害と診断されない場合があります。

適応障害とは、環境の変化によって強いストレスを感じることで発症する病気なので、適応障害と診断する上では、症状の他に「環境の変化」といったストレスの原因が明確である必要があります。  

さらに、世界保健機構の診断ガイドラインによると、「環境変化から1カ月以内に発症していること」という条件となっています。

つまりは、強いストレスを受けるようになってから、1カ月以内に体調が悪くなるということです。  

ただ、この発症するタイミングにも個人差があるので、一般的には、原因となる環境変化があってから1〜3カ月間で症状が出たかどうかがポイントになります

環境変化の一例を挙げてみましょう。

仕事面の環境変化

仕事関連では、就職・退職・転職・部署移動・昇格や降格などが環境が変化する代表例です。

具体的に言うと、一緒に仕事をする人が変わった、仕事の内容が変わった、出社・退社時間が変わった等

私生活の環境変化

私生活では、引越し・結婚・離婚・出産・子供の進学・介護の発生などが環境が変化する代表例です。

このように、生活環境の変化がきっかけとなって発症することが多くあります。

適応障害の発症時期は?

発症時期について、「体調の悪さがひどくなった時期」を答える人がいますが、これは間違いです。

ひどくなったということは、発症から時間が経過して、限界に達してしまった時期なので、それよも前になります。  

私の場合は、環境変化があってから2週間ほどで、出社前に吐き気がするようになっていました。

ただ、そこからしばらく耐え、限界に達したのは4カ月後です。

今思えばもっと早く相談していれば、良かったと思います…

いつぐらいから体調が悪くなってきたかな、というレベルでいいのです。

個人差があるので、あまり深く考えないようにしましょう。

チェック3 ストレス原因から離れると症状が改善するか?

適応障害は、環境のストレスが原因のため、その環境から離れると症状が改善するという特徴があります。

ストレス原因の環境の中にいる時は症状が出るものの、ストレスから解放されるとウソのように症状が良くなる、といったことが良くあります。  

この症状が厄介なんですよね。 

側から見るとサボっているように見えるわけです。

体調が悪いので今日は休みます、と伝えて休んでいると次第に体調が良くなり、1時間後には何ともなくなっていることも良くあります。

なかなか周囲の理解が得られません。  

しかし、これこそが、適応障害の特徴的な症状なのです。 このような特徴を持つため、適応障害になって休職をし、ストレスから解放されると比較的速やかに症状が改善します。  

正解保健機構の診断ガイドラインによると、「ストレス原因から離れてから、6カ月以上症状が持続することはない」とされています。

もし、ストレス原因から解放されても症状が改善しない場合は、さらに深刻な「うつ病」に進展している可能性があります。 詳しくは、後述します。 

>> 適応障害とうつ病の違いは?

チェック4 他の病気ではないか?

最後のチェックとして、適応障害と診断するには、「他の病気がでないこと」という条件があります。  

例えば、内科や脳外科で診察を受けて異常が見つかった場合は適応障害とはならずに、内科や脳外科の診断が優先となります。

また、心療内科や精神科であったとしても、他の症状にを満たす場合は、他の病気が優先となります。  

このように他の診断基準を満たす場合は、そちらの診断が優先され、適応障害とはなりません。(このような診断方法を”除外診断“と呼びます)

適応障害は、他の症状と比べると比較的軽度な症状と言われています。

他の病名が診断された場合は、その病気を専門的に治していくことになるのです。

参考までに、心療内科や精神科で診断される心の病の一例を下記に挙げます。

心療内科や精神科で診断される心の病(例)
・広汎性発達障害
例)自閉症、人格障害、学習障害、コミュニケーション障害

・社会不適応症候群
例)出社・登校拒否症、引きこもり、適応障害、五月病、燃え尽き症候群

・物質依存症
例)アルコール依存症、薬物依存症

・精神病
例)統合失調型、解離障害

・うつ病

・社会不安障害
例)パニック障害、閉所恐怖症、高所恐怖症

・その他
例)外傷後ストレス障害(PTSD)、拒食症、過食症

適応障害とうつ病を見分けるチェックする点

適応障害とうつ病の症状が似ているといわれています。

また、適応障害とうつ病では、うつ病の方がメジャーな病名であるため、適応障害の病状であったとしても、うつ病だと思い込むケースがよくあります。

  適応障害とうつ病の最大の違いは、症状の持続性です。

適応障害は、生活環境の変化によるストレスが原因とされており、そのストレスから解放されると症状が改善する特徴があります。  

一方、うつ病は、ストレスから解放されたとしても症状が改善しない特徴があります。

  例えば、仕事が原因でうつ病が発症した場合、適応障害の場合は休日は症状が改善しますが、うつ病は症状が改善しません。

うつ病と診断される場合は、気分が塞いだ状態(抑うつ気分)が平日であろうと休日であろうと続きます。

2週間以上続くことが診断の目安です。

適応障害と診断されない例

うつ病といった特定の病気でなかったとしても、適応障害として診断されないケースがあります。

その一例として「死別反応」が挙げられます。

愛する家族や親しい恋人・友人を亡くしてしまった場合、強いストレスを受けて適応障害に似た症状が現れます。

しかし、この症状は一時的で6カ月をピークに減少していくとされます。   私も大切な親友を亡くし、気持ちが塞いで自暴自棄になったことがありました。

起きている間は何もする気が起きず、食事も受け付けません。

一日中泣いたりぼーと過ごす日が続き、何もかもを投げ出したい気持ちになっていました。

周囲の人が支えてくれるのがいいと思うのですが、もし日常が苦しくて仕方ない場合は、心療内科や精神科の助けを求めるのもありだと思います。

チェックした結果、適応障害かもしれないと感じたら

もしチェックした結果、自分が適応障害の症状に心当たりがある場合は、早急に対応が必要となります。

なぜなら、適応障害と診断された5年後に、実に40%の人がうつ病などの精神疾患に診断名を変更されたという統計があるからです。  

適応障害とうつ病では、うつ病の方がより重篤な病気なので、適応障害と感じた場合は早く対応しないと、症状が悪化してしまう可能性があります。

自分自身の行動や気持ちを変えることで改善できる場合もありますし、それが難しいようであれば、周囲の人間への協力を仰ぐことになります。

 それも困難な場合は、迷わずに心療内科や精神科に行くことをオススメします

私の場合は、自分自身の行動を変えようと仕事から帰ってから、一人反省会を続けていましたが、症状を改善することはできませんでした。  

また、上司をはじめとした周囲の人への協力も仰ぎましたが、「お前が悪い、なんとかしろ」の一言で、どんどん症状は悪化していきました。

最終的には、休日までも気分が優れず、妻に心配されて、ついに心療内科に行くことになったのです。  

今思えば、適応障害からうつ病に移行する直前だったと思います。

もし、自分が苦しいときは、自分だけでなんとかしようとせず、周りの力を借りるようにしてください。

以上、参考になりましたら幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

「さばくびと」の運営者。30代会社員。借金を抱えたり、パワハラで休職したり、自身の経験をもとに記事を書いています。

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