この記事をご覧になっているということは、適応障害に悩んでいることかと思います。
まず、言いたいことがあります。
「絶対に無理をしないでください…そして早く休んでください」
私も過去に適応障害になりました。
しかし、周囲から「甘えだ」と言われ、働き続けた結果、最終的には休職にまで追い込まれたのです。
長く続けてきた仕事からも離れることになり、本当にツラい時期でした。
なぜ自分だけこんな人生なのか、自分が嫌いになっていました。
この記事では、私の体験談をベースに、「適応障害は甘え」といわれる背景、そして対処方法についてご紹介していきます。
目次
「適応障害は甘え」論は今もある
適応障害、ただの甘えじゃないですか?
— 泡 (@1325unknown) 2017年6月17日
適応障害ってなんやねん!甘えやろ!環境をお前に適応させて行けや!!!!!!!!!
— おうじ♡ (@iji_waru) 2016年12月14日
適応障害って甘えなんだろ知ってる
— レフト (@left_tundara) 2016年11月17日
「適応障害は甘え」だという意見は、今も根強く残っています。
周囲の人だけでなく、体調が悪い自分自身でも「これは甘えだ」と思い込もうとしたことはありませんか?
なぜ適応障害は甘えと考えてしまうのでしょうか?
「適応障害は甘え」論の背景にあるもの
適応障害は甘えという人が多いのは、日本の仕事に対する考え方や、適応障害への理解が広まっていないことが背景にあります。
日本の仕事に対する考え方
「Karoshi(過労死)」という日本語が世界で認識されるほど、日本は働き過ぎのイメージがあります。
また、日本では、残業が「努力」や「頑張っている」と捉えられる風習が未だにあります。
こういったことからも、日本の仕事に対する考え方が見て取れます。
働かない = サボっている
という考え方です。
適応障害の人は、体調が悪くて仕事に支障が出ているわけですが、周囲の人にはそのつらさが伝わらないため、サボっているような印象を与えてしまうのです。
電車内でのベビーカー利用を例に考えてみましょう。
「満員電車でのベビーカーの利用は迷惑だ!」
このような意見がありますが、今では、社会的に電車内でのベビーカーの利用に寛容になってきています。
これは国がベビーカーの利用をバックアップしているからに他なりません。
なぜバックアップするのか?
それは、日本は共働きを推奨しており、そのために育児環境を充実させる必要があるからです。
テレビの特集でも同じです。
ベビーカーの反対の声を流しつつも、結論は「電車内のベビーカー利用を理解しよう」と前向きな報道に落ち着くわけです。
では適応障害の場合はどうでしょうか?
人口の1%(約1300万人)が適応障害だと言われていますが、適応障害について何か国がバックアップしているでしょうか?
テレビで前向きな特集がされているでしょうか?
答えはNOです。
適応障害は未だに理解が広まらないのは、理解を広めようと社会が動いていないからなのです。
こういった日本社会の文化からも、適応障害に偏見を持つ人が未だに多くいます。
日本社会の適応障害に対する理解は、まだまだ低いと言わざるを得ません。
このような結果、自分自身そして周囲の人も「適応障害は甘え」と言う考えになってしまっているのです。
適応障害は甘えと誤解されやすい
適応障害つらい。何がつらいって、甘え病って揶揄されるこの症状。自分でも甘えじゃないかって思ってしまうのがしんどい。
— haneco (@haneco) 2017年9月15日
私は上司のパワハラが原因で体調を崩しましたが、「これは甘えだ」と自分に言い聞かせ、どんどん体調が悪化していきました。
そして、最終的には会社を休職することになったのです。
会社を休職することになった際、「アイツはメンタルが弱いからなー」という陰口を耳にしました。
本当にツラくて、自分が嫌いになって、家に帰える途中に涙をこらえることができませんでした。
適応障害になると、会社に遅刻したり、休んだりと、一見すると「甘えている」ような状態に見えてしまうことがあります。
・会社を休むことが多い。
・休憩時間が多い。
・仕事の量が少ない。
・退社後は趣味に没頭している。
健康な人にとっては、どうしても「行動面」だけが目に見えてしまいます。
しかし実際は、行動の背景に「理由」があります。
・会社に行きたいのだけど吐き気がひどくて、会社を休むことが多い。
・めまいや頭痛がするため、休憩時間が多い。
・抑うつ状態で集中力が低いので、仕事の量が少ない。
・仕事から離れると治るので、退社後は趣味に没頭している。
会社に遅刻したり休んだりしてしまうのは、精神面や身体面の異常から、行動に規制が出ているのです。
特に、最後の「仕事を離れると治る」は適応障害の特徴でもあり、誤解を招きやすい部分です。
適応障害はストレスから離れると改善する
適応障害が「甘え」と勘違いされる最大の理由は、原因となっているストレスから解放されると症状が良くなるという点です。
仕事のストレスが原因で適応障害になった場合のことを例に挙げてみましょう。
症状が出るのは、主に平日だけです。休日は仕事のストレスがないため、症状はほとんど出ません。(日曜の夜から徐々に症状が出始める場合もあります)
また、平日も、症状がつらいのは出勤前〜退勤までに限定される傾向にあります。
このため、業務時間中は体調が悪く、退社した途端に元気になって趣味に没頭できるという状態になるのです。
このような特徴がある病気のため、適応障害について詳しくない人は

って思ってしまうんですよね…
では、適応障害のツラさから逃れるにはどうしたらいいのでしょうか?
対処法1:病気であることに早く気付こう
適応障害は、自分自身でも病気に気づきにくいと言われています。
私も発症した当初は、軽い吐き気だけでした。

上司に体調を伝えても「それぐらい俺にもある」と言われ、自分自身も一時的なものだと思い込み、身体にムチを打って出社していました。
しかし、その結果、どんどん症状が悪化し、最後には休職にまで追い込まれたのです。
風邪などの症状であれば、喉の痛みや発熱によって、「風邪かな?」と感じることができるのですが、適応障害は心からくる病なので、自分自身でも病気か甘えかが分かりづらくなっています。
ただ、適応障害かどうかのチェックする点を意識すれば、ある程度は把握できます。
チェックするポイントは下記の4点。
②ストレス原因が明確で3か月以内に発症しているか?
③ストレス原因から離れると症状が改善するか?
④「他の病気」である可能性はないか?
詳しくは下記の記事をご覧ください。
対処法2:周囲に体調を伝えよう
適応障害は体調のツラさに加えて、周囲から「甘え」と思われてしまうことで、さらに精神面にダメージを与えられます。
私は「周囲にもっと自分の症状を伝えていれば良かった…」と思っています。
ただ、当時は「何がツラいのか」を具体的に伝えることができませんでした。
なので、下記に適応障害の症状を簡単に書きました。
体調を誰かに伝えるときの参考になればと思います。
適応障害の症状
適応障害は、ある環境のストレスが原因となって心身ともに異常をきたす病気。
情緒面・身体面・行動面に何らかしらの症状が出るが、個人差があり一概には言えない。
情緒面の症状
気分が塞いでしまったり、憂鬱になったりといった抑うつ症状。
例)気分が塞ぐ(抑うつ気分)、不安、イライラ、焦りや緊張、無気力など
身体面の症状
動悸や頭痛、吐き気などが代表的な症状。
例)動悸や発汗、頭痛、めまい、吐き気、下痢、睡眠障害、食欲低下、疲れやすい、体がだるい、など
行動面の症状
社会的に禁止されてたり、悪い行動をしてしまう場合がある。
例)遅刻、欠勤、乱費、ギャンブル、自傷行為、食欲がない、暴飲暴食、無謀な運転や喧嘩、など
※以上の症状は、厚生労働省「適応障害」の記載をもとにまとめたものです。
対処法3:病院で診断書をもらおう
病気かどうか分からない場合は、とりあえず病院に行った方がいいです。
まずは内科に行ってみて、そこで異常が見つからないようであれば、心療内科に行ってみます。
確かに、精神科・心療内科に行くのはハードルが高いことだと思います。
「自分が病んでると思われたくない」
私もこのように考えていて、ずっと病院に行くことができませんでした。
しかし、最終的には会社に行くことができない状態になり、病院に行くしかなくなってしまったのです。
病院で適応障害と診断されると「適応障害」という診断書を書いてもらうことができます。
診断書さえあれば、周囲の人から「甘え」という考えは消え去ります。
「なんかおかしいと思ってたけど、病気だったのか」
という反応に変わるのです。
対処法4:いつでも逃げられる準備をしておこう
適応障害になっても、「自分は働くしかない」という状況に追い込まれていると、体を休ませることができません。
適応障害は環境が原因なので、環境さえ改善すれば体調は改善するのです。
なので、「いつでも環境を変えられる」というカードを持っておくと、安心感が違います。
私の場合は、下記の行動でいつでも逃げられる状況を作っています。
・副業で稼ぐ力をつけている
・転職サイトで次の会社候補を考えている
ただ、副業を始めるのはハードルが高いと思うので、まずは復職や転職つながる行動をしてみるのはいかがでしょうか?
具体的には、”自分の強みを知る“ということです。
自分の強み(良さ)を知っておくことで、復職後の自信につながったり、転職にも有利になるでしょう。
グッドポイント診断のサイトでは、無料であなたの強みをしっかりと分析してもらえます。
ぜひやってみてください。

さいごに
私は体調が悪くなったときに、上司や周りの人に相談をしました。
しかし、体調の悪さを心配してくれる人はおらず、「なんとかしろ」といった冷たい反応ばかりでした。
結局、私は体調がどんどん悪化していき、最終的には出社が困難に。
そして、妻の勧めで心療内科に行った際に適応障害と診断されました。
適応障害と診断されたことをいうと、周りの反応が一変しました。
つまり、周りの人は「単なる甘え」だと感じていたのでしょう。
それが病院で「適応障害」と診断されたことで、甘えではなかったと証明されたわけです。
繰り返しになりますが、適応障害は甘えではありません。
適応障害に対する理解が広まるように願っています。
適応障害の書籍はいくつかありますが、この書籍が一番オススメです。
イラストもたくさんあって、とても分かりやすいですし、病気になった人も、周囲の人にとっても役立つ本だと思います。
下記記事もよく読んでいただいています。
ぜひ、ご覧ください。
はじめてコメントさせていただきます。
現在適応障害で休職して復職を目指してリハビリ中です。
周囲の業務遂行に支障が出始めたときの周囲の冷ややかな視線や、
上司の理解の無さ、最終的には臭いものに蓋をするように
休職を勧められた時は、すべてに対する失望しかありませんでした。
このブログを拝読させていただいて、休職を決意することができました。
ありがとうございます。休職一か月でかなり落ち着いてきました。
落ち着いてきたこともあり、同じ苦しみを抱えておられる方や、
苦しみを克服された方々とつながるきっかけとなればと思い、
経緯や症状、学んだことなどをブログにまとめていますので、
チラ見でもしていただけると嬉しいです。
>>適応障害 症状と治療の記録(管理人) さん
コメントありがとうございます(^^
参考にしていただき幸いです!
ブログ拝見させていただきました。
大変な苦労をされたようですね…慣れない仕事に加えてパワハラまで加わるとストレスでボロボロになっても仕方がない…しかも、周りはその辛さに気づいてくれないで本当に苦しいですよね…
症状や治療の記録だけでなく、ストレス対処法などの情報を載せているので大変有益なブログだと感じました(^^!こちらこそ参考にさせていただきますね!
ありがとうございました!
初めてコメントさせていただきます。
私は、今日適応障害と診断されました。適応障害と聞いてもよく分かりませんでした。
出勤前の吐き気や目眩で休みがちになり、今、気づけば1ヶ月休んでます。
私の周りは物心ついた時から、気合いだ根性だという環境の中にいたので、甘えなのかな、根性ないんだと思っていました。
適応障害って実際どうなんだろうと検索して、このブログを見て、少し救われた気がします。
ありがとうございました。
むさしさん
コメントいただきありがとうございます。
私も通勤時に吐き気が酷かったとき「こんなのは甘えだ!」と自分自身に言い聞かせ、無理をしていたことを思い出しました…
むさしさんは自分自身に対して厳しい人(?)のようですが、「1ヶ月も休んでしまった」と復帰に焦るのではなく、ゆっくりと休養できることを願っています。
(できれば3ヶ月ほど休んだ方がいいと思います(^^; )
コメントありがとうございました。
教えている後輩が休みがちになり、ついに医師から適応障害と診断されたようです。
この子はどこかおかしい…こちらの意図がなぜ何度言っても伝わらないんだろう?と、(おそらく)健常者であるわたしにもかなりのストレスでした。
正直なところ、後輩と顔を合わせなくなってこちらもホッとしています。
甘えではないのは理解出来ました。
しかし、適応障害の方と一緒に仕事したり(いろいろ読んで、以前急に態度が変わった元彼も適応障害の毛があったと気付きました。)付き合っていくのは、周りもかなりのストレスを受けます。
要は、いじわるで言ってるわけではないのに、あからさまに拒否反応を出されると、こちらも人間ですから人格を否定された気分になります。
本当に、悲しくなります。
なので言葉が見つからず「甘えだ!根性が足りないんだ!」と、言う人は言ってしまいます。
間に受けないで欲しいのです。人が人に放つ言葉(特に鋭い言葉)は必ず隠れた意味があります。
攻撃的な言葉を言う人ほど、人には見えない闇を抱えているものです。
適応障害と診断された方々全てを責めるわけではないですが、そんな診断もしてもらえず、ストレスや孤独を抱えながら生きてる人もたくさんいるんです。
まずはご自身の休養が先ですが、余裕が出来てきたら、周りにも目を向けてあげて下さい。
無理に声かけなどする必要はありませんが、少なからず、傷ついた人もいると思います。
すみません、長くなりました。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。