さばくびと

休職時には引き継ぎせずに早く休んだ方がいい理由

この前、相談を受けました。

うつ病や適応障害といった病気になった際、休職をする際に業務引き継ぎが必要でしょうか?

 休職時の引き継ぎについては、賛否両論あります。

・仕事ができなくて休職するんだから引き継ぎとか不要でしょ
・周りに迷惑がかかるから引き継ぎは必要でしょ

人によっていろいろな意見があるようですが、実際に休職する際に引き継ぎをした私の経験から言わせてもらいます。

私の答えはこうです。

引き継ぎは不要!体調が最優先!

引き継ぎなんて不要ですよ。

逆に何でしなくちゃいけないんですか? 休職をするということは仕事に支障があるほどに体調が悪いということですよ。

そんな状態で引き継ぎをして体調がさらに悪化して、二度と仕事ができない状況になったらどうするんですか? 責任とれるんですか?

医師からの診断書がある以上、一刻も早く休職させるべきです。

休職時に引き継ぎが必要な組織は終わっている

そもそも、何で引き継ぎが必要なんでしょうか?

引き継ぎが必要ということは、その人にしかできない、あるいは把握していない業務があるということです。

これは、仕事が属人化しているとも言えます。

「その人にしかできない」という仕事があると、その人がネックになって仕事が滞る可能性があります。

このため、属人化は生産性を低下させる原因として改善すべき課題として認識されています。

何が言いたいかと言うと、仕事の属人化を作ってしまった上司、組織、会社が悪いのです。

あなたが悪いわけではありません。

引き継ぎをすると組織の成長の機会を奪ってしまう

ここであなたが、体に鞭を打って引き継ぎをしたとします。

そうすると、上司や周囲の人は「助かった」と思うでしょうか?

いいえ、違います。

「休職前に引き継ぎをすることが普通」という誤った認識を持ってしまうのです。

こういった前例を作ってしまうと、今後休職になる人も同じような目に遭ってしまいます。

あなたがすべきことは、引き継ぎではなく、さっさと休職して休養に専念することです。

上司や周囲の人は困るかもしれません。
残業が増えるかもしれません。

でもそれでいいのです。

そこで、「あいつのせいだー!」と文句しか言わない組織はクソです。終わっています。

普通の組織なら、突発的に要員が離脱することの影響の大きさを実感し、今後同じようなことが起きないように対策を考えるはずです。

繰り返しになりますが、あなたが引き継ぎをしてしまうと組織が成長しません。

「引き継ぎをしないと迷惑」という短期的な目線ではなく、「引き継ぎをすると迷惑」という長期的な目線で考えましょう。

引き継ぎをする必要はありません。

急に人がいなくなっても、会社はつぶれない

会社が続いていく以上、突発的に仕事ができなくなる人は必ずいます。

これまで、急な事故で仕事ができなくなる人もいたはずです。

亡くなった人もいるかもしれません。

しかし、会社は倒産していません。

つまり、急に人がいなくなっても会社はつぶれないのです。

おのずと代わりの人が現れます。

ないとは思いますが、もし、休職した人しか知らないことで、会社の存続に関わるようなことがあれば、その人にコンタクトをとればいいだけです。

このため、休職が会社に与える影響は極めて小さいと言えます。

引き継ぎをやっていると「元気じゃん」って言われるよ

この見出しは私の経験したことです。

医者から休職の診断書をもらい、上司に提出しました。

そのまま休職に入ると悪いと思い、最低限の引き継ぎはしようと思っていました。

引き継ぎメモを作成したり、メールを書いたりしていると、どこからともなく上司がやってきて言ったのです。

「引き継ぎできるぐらいだったら、全然元気じゃん」

「体調悪かったら会社来れないよ」

甘えてるだけじゃないの?とでも言いたいような雰囲気でした。

「適応障害は甘え」と勘違いされやすいと聞いたことがありましたが、まさにその通りです。

私は後悔しました。

なんで引き継ぎなんかしているんだろう、と。

つまり、あなたが善意で引き継ぎをしたとしても、周囲の人はそう受け取ってくれない場合もあるということです。

「適応障害は甘え」休職に追い込まれた私が語る、たった1つの対策

2019年2月12日

「どうしても」というなら、緊急で重要なものだけを引き継げ

引き継ぎは不要、というのが私の考えですが、

「さすがに周りの人に迷惑をかけるし、復職しづらい雰囲気を作りたくない・・・」

そう考える人もいると思います。

その場合は、7つの習慣にもある時間管理マトリックスの「緊急で重要度が高い仕事」のみを引き継ぐことをお勧めします。

「緊急で重要度が高い仕事」のみを引き継ぐ

これが有名な時間管理マトリックスです。

「緊急度が低くても重要度が高いタスクは後々に大きな効果を生むのでコツコツやる」という第2領域の重要性を伝えるために用いられることが多い図です。

しかし、今回のテーマは休職時の引き継ぎです。

どうしても引き継ぎが必要というのならば、緊急で重要度が高いものだけに注力します。 この図でいうところの「第1領域」ですね。

具体的にいうと、期限が近い仕事やクレーム処理は、概要だけでも上司に伝えておいた方が良さそうです。

引き継ぎ期間の目安は半日としてください。

休職の手続きの時間を確保するということと、半日あれば概要は伝えられるというのがその理由です。

それに、引き継ぎの時間が長くなればなるほど、周りの人は「働けるじゃん」と思います。

休職の手続きをカンタンに説明「診断書・上司・産業医・書類」

2017年10月19日

さいごに

繰り返しになりますが、休職時には引き継ぎをしない方がいいというのが私の答えです。

理由をまとめると下記の通りです。

休職時の引き継ぎが不要な理由
1.体が一番大事。働けなくなったら誰も責任を取れない
2.引き継ぎが必要という組織事態に問題がある
3.引き継ぎをすると組織が成長しない(属人化が放置される)
4.急に人がいなくなっても会社はつぶれない
5.引き継ぎをしても周囲の人は「助かった」とは思わない

どうしても引き継ぎが必要ならば、「緊急で重要度が高い作業」だけにする(目安は半日)。

やはり、一番大切なのは体です。 引き継ぎに悩むよりも、休養をとって体調を回復することが大切だと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。

 

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