この記事をご覧になっているということは、適応障害に悩んでいることかと思いますが、まず、お伝えしたいことがあります。
「絶対に無理しないで」
私も過去に適応障害になりました。しかし、周囲から「甘えだ」と言われ、働き続けた結果、最終的には休職にまで追い込まれたのです。
長く続けてきた仕事からも離れることになり、本当にツラい時期でした。なぜ自分だけこんな人生なのか、自分が嫌いになっていました。
この記事では、私の体験談をベースに、「適応障害は甘え」といわれる背景、そして対処方法についてご紹介していきます。
「適応障害は甘え」論は今もある
適応障害、ただの甘えじゃないですか?
— 泡 (@Wahtsthis_itsa_) June 17, 2017
適応障害って甘えなんだろ知ってる
— もーえー (@left_tundara) November 17, 2016
「適応障害は甘え」だという意見は、今も根強く残っています。周囲の人だけでなく、体調が悪い自分自身でも「これは甘えだ」と思い込もうとしたことはありませんか?
なぜ適応障害は甘えだと考えてしまうのでしょうか?
甘えと思われる理由1:病気の理解が広まっていない
適応障害は甘えという人が多いのは、日本の仕事に対する考え方や、適応障害への理解が広まっていないことが背景にあります。
「Karoshi(過労死)」という日本語が世界で認識されるほど、日本は働き過ぎのイメージがあります。また、日本では、残業が「努力」や「頑張っている」と捉えられる風習が未だにあります。
適応障害の人が働けないのは「体調が悪い」という理由があるのですが、周囲の人にはそのつらさが伝わらないため、サボっているような印象を与えてしまうのです。
電車内でのベビーカー利用を例に考えてみましょう。
「満員電車でのベビーカーの利用は迷惑だ!」
このような意見がありますが、今では、社会的に電車内でのベビーカーの利用に寛容になってきています。これは国がベビーカーの利用をバックアップしているからに他なりません。
なぜ国がバックアップするのか?
それは、国が共働きを推奨しており、そのためには育児環境を充実させなければならないです。
テレビの特集でも同じです。
ベビーカーの反対の声を流しつつも、結論は「電車内のベビーカー利用を理解しよう」と前向きな報道に落ち着くわけです。
では適応障害の場合はどうでしょうか?
国が何かバックアップしているでしょうか?
テレビで前向きな報道がされるでしょうか?
答えはNOです。
適応障害は未だに理解が広まらないのは、理解を広めようと社会が動いていないからなのです。こういった日本社会の文化からも、適応障害に偏見を持つ人が未だに多くいます。
日本社会の適応障害に対する理解は、まだまだ低いと言わざるを得ません。
甘えと思われる理由2:会社が終わると体調が回復する
適応障害つらい。何がつらいって、甘え病って揶揄されるこの症状。自分でも甘えじゃないかって思ってしまうのがしんどい。
— haneco (@haneco) September 15, 2017
適応障害が「甘え」と勘違いされる最大の理由は、ストレス原因から解放されると症状が改善するという点。
会社が原因の場合、症状が出るのは日曜の夜から平日の日中が多く、退社後は症状が回復しやすい傾向になります。このため、業務時間中は体調が悪いため生産性が低く、退社した途端に元気になって趣味に没頭できてしまうのです。
この特徴が非常に厄介で、適応障害に理解のない人は「趣味を満喫する元気はあるのに、仕事はできないってどういうこと?」と思われてしまう…
自分自身もそういった事象に戸惑ってしまい「これは甘えだ」と思ってしまいがちです。
以上、病気が周知されない、症状が分かりにくい、といった2つの理由から、適応障害は甘えだと勘違いがされやすい病気なのです。
では、体調が悪くなってしまった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?
対処方法:病院に行って診断書をもらおう
繰り返しになりますが、適応障害は非常に理解してもらいにくい病気です。私の場合、自身の体調不良を上司に相談しても「それぐらい俺にもある」と流されました。
厚生労働省のセルフチェックで客観的なチェックができるものの、それをしたところで上司や同僚は分かってくれません。そうとなれば、やはり最良の手は病院に行くことになります。
病院で書いてもらった診断書を会社に見せると同僚の態度が一変するはずです。
ただ、診断書をもらうには精神科、あるいは心療内科に行く必要があります。初めて方はハードルが非常に高く感じると思います。
私自身なかなか病院に行くことができませんでした…病んでいると思われたくなかったし、保険加入への影響も心配でした。しかし、どんどん会社にも行けないほどに体調が悪化してしまったため、最終的には病院に行かざるを得なくなってしまったのです。
ハードルは高いと思いますが、現状の苦しい状態から解放される有効な手段なので勇気を出して一歩を踏み出してください。
その後の流れ:体を休めつつ「自分らしく」を考えよう
会社に診断書を提出した後は、おそらく会社を休むように指示されると思います。
会社からは1週間〜2週間程度と言われる可能性が高いと思いますが、治療やリハビリの時間を考えると3ヶ月ほどは休みをとった方がいいと私は思います。
適応障害はストレス原因が取り除かれなければ再発してしまう病気です。たかだか1週間では会社側も環境を整えることができません。なので、会社に準備期間を与える意味でもしっかりと期間をとった方がいいと思います。
休みに入った直後は何もせずに体調が回復するのを待つことになりますが、徐々に今後の働き方について思いを巡らせるようになるでしょう。
時間はたっぷりあるので、自分がどういう仕事をしたいのか、自分が何にやりがいを感じるのか、これからどういった日常を過ごしていきたいのか、といったことを紙に書き出していくと良いと思います。
自分を見つめ直す際に役立つツールがあります。
自身の強みを客観的に知ることができるグッドポイント診断というツール。転職の準備として用意されたものですが、「自分の強み=自分らしく働ける環境」と言えるので、自分を見つめ直す上でも非常に参考になります。無料なので気軽にやってみてください。
さいごに
私は体調が悪化した際に上司や同僚に相談しましたが、体調を理解してくれる人はおらず、「みんな大変なんだから」といった冷たい反応ばかりでした。
結局、私は体調がどんどん悪化していき、最終的には出社が困難に。そして妻の勧めで心療内科に行った際に適応障害と診断されたのです。
適応障害と診断されたことを伝えると、同僚の態度は一変しました。結局組織は何かしら証明できるものがないと動いてくれないのだと感じたのを覚えています。
繰り返しになりますが、適応障害は甘えではありません。適応障害に対する理解が広まるように願っています。
適応障害の書籍はいくつかありますが、下記の書籍が一番お勧め。 イラストもたくさんあって、とても分かりやすいですし、病気になった人も周囲の人にとっても役立つ本だと思います。
新版 適応障害のことがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
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参考文献
厚生労働省:ご家族にできること
厚生労働省:5分でできるセルフチェック
講談社,貝谷久宣:適応障害のことがよくわかる本