
「管理職になりたくない」
このように考えている人が増えています。
厚生労働省の調査では、およそ6割の人が管理職を希望しないという調査結果が出ています。
そんな中、私にもついに管理職への昇進の声がかかりました。
私も管理職を希望しない人間の一人です。
この記事では、管理職を辞退した体験談、一生を平社員で終える上での生き方や注意点についてまとめました。
管理職を希望しない方の参考になりましたら幸いです。
目次
経緯:管理職への昇進のお誘い
「○○さんへ
今年度の昇進対象者に選ばれていますので、試験の準備をお願いします」
こんなメールが届いたのが10月頃。
私の会社では、下記の流れで管理職への昇進となります。
①部長が昇進対象者を選定する
②人事部指定テーマの論文を書き、その後に面接を受ける。
論文と面接にて合格した者は、翌年度より管理職となる。
昇進対象者は部長が選びますが、基本的には年功序列なので、能力はあまり関係ありません。
だいたい30歳〜35歳が管理職への昇進対象となる年齢です。
また、昇進することは名誉があること、そして給料もアップするということで、昇進を断るような人はいません。
しかし、私は「管理職にはならない」と決めていました。
管理職になりたくない「背景」
20代の頃、私は会社が好きでした。
できることが増えていくのも楽しかったですし、メンバーと一緒にプロジェクトを進めていくのも好きで、何よりもお客さんから「すごく助かってる」という言葉を受ける度に、自分の存在意義を感じていました。
帰宅するのが0時を回ることも多くありました。
また、休日出勤をすることも多かったと思います。(サービス残業ならぬ、サービス休日出勤です)
しかし、私は会社が好きでした。
そんな私が「会社に行きたくない」と精神疾患にかかり、数ヶ月の休職することになったのです。
詳しくはこちらの記事を見ていただきたいのですが、簡単に言うと、上司からのパワハラが原因です。
職場の上位者は、休職した私に対して「あいつはメンタルが弱い」と手のひらを返してきました。
会社だけでなく、私生活にも影響が出ました。
周囲からは”病んだ人“というレッテルを貼られ、生命保険にも加入できなくなりました。
なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか?
自分はどうすれば良かったのか?
休職中、私は考えました。
考えた結果、私には”逃げ道”が無かったことに気づいたのです。
周囲から期待に応えようと、私には”仕事から逃げる“という選択肢はありませんでした。
逃げ道を用意しておかなければ、人は次第に追い詰められ、最悪の場合は自分の命も絶ってしまいます。
いつでも逃げられるように逃げ道を用意しておく…それが私の働く上での最も重要な指針となっていました。
管理職になりたくない「理由」

厚生労働省の労働経済の分析では管理職を希望しない理由の統計結果があります。
統計結果では、6割を超える人が「管理職になりたくない」と主張しているのです。
「責任が重くなる」「業務量が増える」といったことが大きな理由とされています。
私が管理職になりたくない理由も同じです。
・これ以上、業務を増やしたくない
管理職になるということは、”給料・やりがい・権限”と引き換えに、責任負う立場になります。
責任者になると、無駄な会議に呼ばれることが多くなります。
また、部下育成の役割も担うので、無能な部下に時間をどんどん奪われます。
かといって、管理職は『責任者になること・部下を持つこと』を断ることはできません。それが管理職の職務だからです。
管理職への昇進の辞退(メール文)
私は管理職への昇進を辞退しました。
昇進試験への準備について、ご連絡ありがとうございます。
しかしながら、わたくし、昇進を辞退させていただきたいと思います。
精神疾患にかかり休職した中で熟考した結果、今の自分にはこれ以上の責務は負えないと考えております。
申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。
上記のような返信をしたのですが、「なぜだ!?」と上位者から呼び出されました。
課長や部長にまで呼び出され、それでも私は辞退をしました。
なお、法律上の話をすると、社員は昇進を断ることができません。
昇進は業務指示のため、(最悪の場合)、懲戒処分を受けることも覚悟しなくてはならないでしょう。
(参考)管理職を辞退する際、上位者から言われたこと
実際に上位者から言われたことを備忘録として残しておきます。
・どうせ大変な仕事を任されるんだから、お金はもらうべき
・プレイヤーになりたいのか?管理職でもプレイヤーはいるぞ
・男なら責任のある立場を目指せ
・管理職にならなくても後輩指導はしてもらうぞ
・今後、昇進の声がかからなくなるぞ
・会社での可能性を捨てることになるぞ
・後輩が気まずい思いをする
・上位者の教育力が不足していると思われる
・1日待ってやるから家族と相談してこい
まとめると、管理職を辞退することによって下記のようなデメリットがあると上位層は考えているようです。
①お金に困る
②キャリアを捨てることになる
②後輩や上司がきまずい思いをする
管理職にならない生き方(リスクに備える)
私は管理職になることを辞退しました。
ただ、管理職にメリットがあることも事実。
具体的なメリットについては、下記の記事にまとめました。
管理職を辞退するということは、これらのメリットを得られないということになります。
特に、①収入の観点と②転職の観点で、管理職にならないリスク考えておく必要があるでしょう。
収入の観点(将来の支出を考える)
管理職になると、給料が1.7倍〜3.0倍にアップするという統計結果があります。
逆に、管理職にならないということは、現在の年収から増えないということなので、将来の支出に対して、現状の収入でカバーできるのかを考えておく必要があります。
最も重要なポイントは、子供の人生を左右する”教育費”でしょう。
幼稚園〜大学までの教育費は1000万〜3000万円と言われていますが、自分の子の進路を想定して費用を見積もっておきます。
下記は我が家の教育費のシミュレーション例です。
幼稚園
我が家は保育園を利用しているため、大きな支出はありません。
小学校と中学校
妻と相談したところ、現在の地域の小学校も中学校も評判が良いので公立でも良いのではないかということ。学費は小学校が毎年40万、中学校は毎年50万円です。
高校
高校は子供が決めると思いますが、統計的に公立の割合が多いので公立で計算します。公立高校は毎年50万円です。
大学
大学も子供が決めますが、統計的に私立の割合が多いので私立で計算します。私立大学は毎年150万です。(大学院は進学率が低いので見積り外)
以上を合計した1140万円が教育費となります。
よって、小学校入学前から教育費用に毎月6万円を積み立てるとよいことが分かります。
6万×12ヶ月×16年=1152万円
計算した結果、平社員でも教育費は何とかなることが分かります。
なお、マイホームの購入はしません。(住宅ローンという借金を背負うと、逃げ道が無くなるため)
データ出典元:文部科学省 子供の学習費調査
データ出典元:日本政策金融公庫 教育費に関する調査結果
ここに書いたのは我が家のシミュレーション例ですが、子供を持つ家庭は教育費は大きな支出になるのでしっかり計算しておいた方がいいと思います。
転職の観点
管理職になると、マネジメントや部下育成などのビジネススキルを高める機会が多くなります。
そして、これらは転職にも有利であると言われています。(データ元:マイナビ転職)
以前に転職エージェントへ相談に行った結果を紹介しておきます。
・役職は書類選考の判断材料になる。
・役職で高い評価する企業も多い。
・逆に、30代以降で役職が無いと何か問題があるように思われる。
・管理職を辞退した理由は、「責任を重くしたくない」といったネガティヴな理由はNG。「プレイヤーとして活躍したい」といった前向きな理由が良い。
・いずれにしても、管理職になっていないことは、ネガティヴな印象を持たれる可能性が高い。
・役職が問題にならないケースもあるので、絶望することはない。(面接で話題に挙がらない、等)
転職エージェントに相談した結果、”管理職に昇進していないと、転職で圧倒的に不利になる“ようです…
転職をするような状態にはならないように行動をした方が良さそう。
平社員のメリットを活かして生きる
忘れてはいけないのが、”平社員であることのメリットを活かして生きる“ということ。
平社員のメリットとは何でしょうか?
まず、平社員は部下を持たないため、部下の責任を負うことはありません。
また、平社員は、難易度の低い作業が多いため、経験を重ねるごとに作業時間を減らしていくことができます。
つまり、平社員には下記の大きなメリットがあります。
②業務量が少なく、労働時間を減らせる。
『ストレス・労働時間が少ない』このメリットを活かすことで、平社員は私生活に時間を多く使うことができます。
当然ながら、毎日定時で帰り、年休を全て消化することを目標としたいところです。
どの程度、私生活に時間を使えるか計算をしておきましょう。
労働条件
・毎日定時退社(労働時間8時間)
・昼休みは1時間
・通勤は片道1時間
・年休は20日間
・土日祝は休み
・労働日数は月20日
上記の条件とした場合、
年間の労働日数:20日×12ヶ月-20日間=220日
労働時間:8時間×220日=1760時間
拘束時間:3時間×220日=660時間
会社に使う時間:1760+660=2420時間
1年は24時間×365日=8760時間なので、会社に消費する時間比率は、2420÷8760≒27.6%となります。
つまり、仕事の時間を3割以下に抑えることができるのです。
残りの7割は私生活なので、家族と過ごすのも良いですし、副業や趣味に時間を使うのもいいと思います。
管理職を断った場合の注意点
管理職を断った場合に注意すべき点を挙げておきます。
①職務を超える仕事はきっぱり断る
勤続年数が増えるにつれて、仕事もできるようになると思います。
そういった頼りになる社員に対して、上位者は重要な仕事や、難しい仕事をやってもらいたいと思うことでしょう。
要するに、『平社員に対して管理職レベルの仕事を任せようとするケース』です。
このようなケースは多いにあります。
しかし、管理職を断った以上は、職務を超える仕事はきっぱりと断るようにしましょう。
そうしないと、会社にとって都合のいい人間になってしまいます。
②リストラには備えておく
最悪のケースとして、リストラにも備えておいた方がいいでしょう。
管理職を辞退したことで、状況によっては『業務指示を拒否した』と判断される可能性があります。
最悪、解雇されることを念頭において、転職の可能性や副業による収入の確保をしておいた方が良いでしょう。
(もちろん、管理職も例外ではありません)
さいごに
管理職を辞退の体験談や注意点について書いてきました。
冒頭に書いたように、今は管理職を希望しない人が6割もいる時代です。
管理職になることの魅力よりも、私生活を充実させたいという人が多いということなのでしょう。
しかしながら、働き方改革が進んでいく中で、管理職の働き方も改善される可能性はあると思います。
今のところ私は管理職になりたいとは思っていませんが、状況に応じて臨機応変に対応できるようにしておきたいと思います。
この記事が参考になりましたら幸いです。
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